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13年前に、ニューサウスウェールズ州のブルー・マウンテンズエリアからキプスランドに移ってきた当時、タムシン・カルバンさん(タムシン・テーブル)は「なんか退屈なところね」と思ったそうです。「そこでお茶しても、どうってことないつまらないところだったわ」当時を振り返って、そう語っています

 

今でこそ、ギプスランドは ワインの産地として認識されていますが、
当時は何もない町でした。ほとんどの農家が酪農で生計をたてており、農業は観光に利用されることなく、生活のためになされていました。ただ、土地柄このキブスランドは、他にはない特別な気候に恵まれてきました。雨量が多く、湿度が保たれ、日中と夜間の寒暖の差が大きいこの地域の気候は、肥沃な土壌として育まれてきました。

カルバンさんは、この地域の素晴らしさをこう語っています。
「私が、初めてここに来たときは9月で とても草木が豊かに生い茂る時期だったの。
メイン・サウス・ロードのわきに車を停めて、しばらくこの景色のあまりの美しさに涙がとまらなかった。緑というものがこんなに心豊かにしてくれ、感情に訴えかけてくるなんて思いもよらなかったのよ。」

ただ、この地域に住む人たちは少し閉鎖的なところがありました。5、6世代にわたって住み続けているという家族がほとんどで、昔からの顔なじみばかりの生活だったからです。しかし現在では、少しずつ状況が変わってきました。カルバンさんは こう語ります。

「ここ10年でいいものを作ってみたい、挑戦してみたいと考える人が、移住してくるようになったの。」「土壌、気候、雨量。こうした自然の魅力が、彼らを引き寄せたのね。」

そして、こう続けます。
「その結果、多くの人がワインや食べ物などの生産に携わるようになったの。これは、とても喜ばしいことよ。だって彼らは、特別ないいものを作りたいという熱い思いでここに来たんですもの。」

キブスランドではもちろん、外部から来た新しい人たちもこれに携わっていますが、ほとんどが-ウィリアム・ダウニーのような-以前住んでいた地元の人たちです。ダウニーにとって、ギプスランド以外の場所でぶどうを育てるという選択肢はありませんでした。
15年間、ワインづくりに携わっていた経験があるにも関わらず、ギプスランドに戻ってはじめて、やっとワインの製造者として一歩を踏みだすことができると思ったそうです。

同じくギプスランドの出身であるマーカス・サッチェルは、Dirty Three Winesというブランド名のワインづくりに 何年も力を注いできました。1年前、彼はテイスティングルームをオープンしましたが、その後すぐに、「グルメ・トラベラー・ワインマガジン」にキブスランドお勧めの試飲直売所として、初めて取り上げられました。

ギプスランドは、メルボルンの最東端の郊外からニューサウスウェールズ州境界までに位置する広大な土地です。
今まであまりにも広大すぎて目に入らなかったのかもと思うぐらい、壮大で圧倒的です。
観光客のほとんどは、ギプスランドを『自然の美しいウィルソンプロモントリー国立公園のあるところ』としか認識しておらず、こういったことも、ギプスランドが今まで注目されずにきた理由かもしれません。

ギプスランドへは、メルボルンのCBDからわずか1時間で行くことができます。1~2泊したいという場合は、快適な宿泊施設に泊まることもできます。ここに来た人たち全員が、皆 何か見たい物や買いたい物など目的があってここに滞在しているので、共有できる感性や一体感など、特別な楽しさを味わえるかもしれません。

カルバンさんは 最後にこう語ってくれました。
「全員が一生懸命ワインづくりに打ち込んでいます。しかしそれだけでなく、ワインづくりを楽しみ、他の生産者と良好な関係を築き、自分のノウハウや体験を共有する事を忘れてはいません。」
「わたしたちは、人の目を気にする事なく ただ自分のしたい事をしています。とてもシンプルな生き方なのです。」

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